ドイツ語の発音 - Aussprache -   母音 a, i, u ● 日本語にはアイウエオの5つの母音があるが，ドイツ語には日本語よりも多くの母音があるため，微妙な音色の違いを発音し分ける（聞き分ける）ことが重要になる。 ● 基本となる3母音を取り上げよう。a [aː], i [iː], u [uː] は極端な発音位置を取る母音で，これが母音の基本となる。（なお，単語のつづりでは [iː] に対しては ie が用いられる。）       [aː]    fahren ['faːʁən  ファーレン]  運転する        Zahl  [tsaːl  ツァール]  数    [iː]    bieten  ['biːtən  ビーテン]  提供する        Liebe  ['liːbə  リーベ]  愛    [uː]    buchen ['buːxən  ブーヘン]  予約する        Mut  [muːt  ムート]  勇気 ● [aː] は舌を下げ，極限まで口を大きく開いて発音する“明るい”音。[iː] は舌を前方に押し付け，唇の両端を極限まで左右に引っ張って発音する“キンキン”した音。[uː] は舌を極限まで口の奥へ引き込み，逆に唇は前方に突き出して発音する“深い”音。 ● 他の母音はこれほど極端な発音位置を取ることはないので，この3つを頂点とする三角形の中のどこかに収まることになる。まずは口をはっきりと動かして a, i, u を発音してみよう。      Schi  [ʃiː  シー]  スキー    ─    Schuh  [ʃuː  シュー]  靴   Hahn  [haːn  ハーン]  おんどり   ─    Huhn  [huːn  フーン]  鶏  参考  上の説明を読んで，実際に“極限”の [aː], [iː], [uː] を発音してみた人は，日本語の「ウ」がそれ程極限まで行っていないことに気がついたかもしれない。実はその通りで，日本語の「ウ」は大変“ゆるい”音だ。舌はあまり奥へ引き込まず，唇も突き出さない。音声学の発音記号では，[ɯ] と表記される。「ウ」は決して [u] でないことを意識しよう。

（注：発音表記では  ‿   や  ̯  のような補助記号は使用していません。アクセントは音節前の ' で示しています。）

＊このページの内容は教科書『耳から学ぶドイツ語』（三修社）の原稿の一部をHP用に改変したものです。