ドイツ語の発音 - Aussprache -   f, h, ch の音 ●「ハ」，「ヘ」，「ホ」と言ってみてよう。吐く息をのどの奥で摩擦させているのが分かるだろうか（発音記号は [h]）。ところが，「フ」は唇の間で摩擦させている（発音記号は [ɸ]）。一方，「ヒ」は口の中での摩擦だ（発音記号は [ç]）。 ● ドイツ語の f の音 [f] は，英語と同じ，歯と唇による摩擦音。それに対し，h の音 [h] はのどの摩擦音。hu のように u が続くときは注意が必要。       [f]    Frau [fʁaʊ  フラオ]  女性        viel  [fiːl  フィール]  たくさんの    [h]    Hund  [hʊnt  フント]  犬        hier  [hiːɐ  ヒーア]  ここに ● 次に，ch の音 [ç] / [x] はいずれも口の中の摩擦音。[ç] は日本語の「ヒ」の子音と同じ。[x] は寒いときに手に息を吹きかける「ハーッ」というときの音。       [ç]    ich [ɪç  イヒ]  私は        München  ['mʏnçən  ミュンヒェン]  ミュンヘン    [x]    acht  [axt  アハト]  8        kochen  ['kɔxən  コッヘン]  料理する       Buch  [buːx  ブーフ]  本        auch  [aʊx  アオホ]  ～もまた ● [f] と [h] を実際に練習してみよう。母音のあとの h は，母音を長く発音することを表すだけで，実際には読まれないので注意。   fünf  [fʏnf  フュンフ]  5        bisher  [bɪs'heːɐ  ビスヘーア]  今まで        Bahnhof  ['baːnhoːf  バーンホーフ]  駅 ● 続いて [x] と [ç]。ch は，a-, o-, u-, au- の後ろで [x]，それ以外では [ç] と読まれる。ただし，実際には前後の音によって少しずつ音の感じは変わる。   machen  ['maxən  マッヘン]  する        Tochter  ['tɔxtɐ  トホター]  娘        Kuchen  ['kuːxən  クーヘン]  ケーキ   sprechen   ['ʃpʁɛçən  シュプレッヒェン]  話す         Mädchen  ['mɛːtçən  メートヒェン]  女の子  参考  [ç] は口の前の方の摩擦音，[x] は口の後ろの方の摩擦音。a-, o-, u-, au- は口の後ろの方を使って発音するので，それに引っ張られて ch も [x] の音になるというわけだ。日本語でも「アハハ」「イヒヒ」は自然だが，「アヒヒ」「イハハ」は発音しにくい。

（注：発音表記では  ‿   や  ̯  のような補助記号は使用していません。アクセントは音節前の ' で示しています。）

＊このページの内容は教科書『耳から学ぶドイツ語』（三修社）の原稿の一部をHP用に改変したものです。