ドイツ語の空き地

  ドイツ語の発音 - Aussprache -  

e, ä, ö の音

まず e [eː] と ä [ɛː] について。ドイツ語では,2種類の「エ」を使い分ける。後者の [ɛː] は,日本語の「エ」と同じと考えてよい。一方 [eː] の方は,[ɛː] よりも舌の位置を高めにして発音する音で,[iː] に近い。実際,日本人の耳にはしばしば「イ」のように聞こえる。つづりは, 長母音では e が [eː] に, ä が [ɛː] に対応するが,短母音ではいずれもやや口を開いた [ɛ] の音になる。

      [eː]    sehen ['zeːən  ーエン]  見る        Tee  [teː  ー]  お茶
   [ɛː]    Mädchen  ['mɛːtçən  ートヒェン]  女の子        spät  [ʃpɛːt  シュート]  遅い
   [ɛ]    Geschäft  [gə'ʃɛft  ゲェフト]  お店        Herz  [hɛʁts  ルツ]  心

次は ö [øː] の音。「エ」の音を,唇を突き出して発音する。長母音と短母音では,短母音の方がやや口を開いた,“ゆるめ”の状態 [œ] で発音される。

      [øː]    hören ['høːʁən  ーレン]  聞く        schön  [ʃøːn  ェーン]  美しい
   [œ]    plötzlich  ['plœtslɪç  プッツリヒ]  突然        zwölf  [tsvœlf  ツェルフ]  12

練習してみよう。[e] は [i] と [ɛ] の中間に位置する音。唇の両端を左右に引っ張り,「イ」の構えをして「エ」と発音するとよい。gehen は「ギーエン」と言うくらいの感じで発音する。[ɛ] の方は日本語の「エ」で問題ない。

  gehen  ['ɡeːən  ーエン]  行く         lesen  ['leːzən  ーゼン]  読む         zehn  [tseːn  ェーン]  10
  Gerät  [ɡə'ʁɛːt  ゲート]  器具        kennen  ['kɛnən  ネン]  知っている        erzählen  [ɛɐ'tsɛːlən  エアェーレン]  物語る

ö は,[e] の音を,唇を突き出して発音する。唇を突き出すことが大切。不満を表明するときのように口をとがらせ,Öööööh! と言ってみよう。

  gehören  [ɡə'høːʁən  ゲーレン]  属する        König  ['køːnɪç  ーニヒ]  王様
  möchte  ['mœçtə  ヒテ]  ~したい        öffnen  ['œfnən  フネン]  開く


(注:発音表記では  ‿   や  ̯  のような補助記号は使用していません。アクセントは音節前の ' で示しています。) 

このページの内容は教科書『耳から学ぶドイツ語』(三修社)の原稿の一部をHP用に改変したものです。